ひとくちに東洋医学、漢方と言いましても範囲は広く鍼灸、按摩、気効、薬膳、漢方薬等があります。 ドクダミやゲンノショウコを煎じて飲むのは漢方ではなく民間薬と言います。
漢方は中国3000年の長い歴史の中で、痛ければ本能的に痛いところに手がいきすると痛みが和らぐこれを「手当」と言います、そのうち手を当てるだけではなく押したり揉んだり温めたり、石か何かで刺激しても痛みが楽になることを知りました、これが鍼灸の発達であり経穴(つぼ)の発見です。体調が悪いとき草根木皮を煎じて飲むと楽になった、1つより2つ組合わせる方がもっと楽になることを経験的に覚えました。長い歴史の中で体系化され前者は鍼灸按摩として後者は漢方薬として発達してきました。
つまり古代からこうした経験に裏付けられた医学が中国において形を変えながら理論化されて日本に伝えられ、今日の漢方医学に至っているわけです。このように現在我々が服用している漢方薬は多くの先人達の3000年の検証に耐えてきたすばらしい薬だと思います。
実際の漢方薬選定には体質、症状、家庭環境その方の訴えをよく聞き、例えば頭痛がするという場合西洋医学では血液検査その他理化学検査で異常を見つけ、それを治療する、なければ鎮痛剤となりますが東洋医学では、頭痛と直接関係ない胃腸の様子、肩こりはないか、便はどうか、根ほり葉ほり問診します、それはその頭痛がどこの異常からおきているか探します、ちょうど刑事が犯人探しをするのににています。陰陽や五行又気血水のバランスを整え体調をもとに戻すのです、だから漢方は同じ症状でも一人一人その方に合う漢方薬が違います、オーダーメードの薬です。西洋医学が集団の医学とすれば東洋医学は個の医学という事ができます。
漢方は古くから薬だけでなく世界中で自然に食品に取り入れられてきました、ヨーロッパではハーブティーやお風呂にいれたり、とりわけ中国では「医食同源」と言い薬と食物は同じ源から発しているとして食物管理を重視してきました。
漢方薬に配合されている薬草は我々の台所の身近にあるものがたくさん有ります、しょうが、しそ、よもぎやお茶も漢方薬に入っています。
五角形の図が五行説といい東洋思想から出来た物です。
五行説は知らなくとも五行の調和がよいときが健康であり五味の調和がよいとき料理がおいしいと我々の先人達が気づきましたこれを「塩梅」がいいと言います。例えば、お寿司の酢と甘味と塩の加減それに甘味のぜんざいを食べるとき塩味の塩昆布と辛味の山椒又辛味のお酒の肴には酸味と塩味が添えられます。これを「五味調和」と言います。このようにバランスのとれた食事で病気にならないように、体調をこわしたときは漢方薬で五臓の機能を整えることにより健康で長生きができることと思います。
みなさんは鍼灸というとどのようなイメージおもちでしょうか鍼は痛い、お灸は熱い、小さい時いたずらをすると「お灸をすえる」と言われるようにあまり良いイメージはお持ちではない方もいらっしゃるとおもいます。
しかしそれも有効な治療点のツボ(経穴)に当たれば鍼は痛くなく、お灸は気持ちよく感じることさえあります。
中国三千年の長い歴史の中で、痛ければ本能的に痛いところに手がいきすると痛みが和らぐこれを手当と言います、そのうち手を当てるだけではなく押したり揉んだり温めたり、石か何かで刺激しても痛みが楽になることを知りました、これが鍼灸の発達であり経絡、ツボ(経穴)の発見です。
それでは経絡とはなんでしょう、東洋医学では現代医学の臓器とは違いますが、内臓の機能を六臓(肝、心、脾、肺、腎、心包)六腑(胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦)に分けます、この六臓六腑が正常に働くために必要な気(エネルギー)と血(栄養物質)を全身に流す道路の役目を経絡と言います。経絡は頭の先から足の先まで体をくまなく張り巡らされ六臓六腑に1つずつ12経と体の前面と後面を流れる任脈と督脈をいれて14の経絡が有りますこの14の経絡を気血が順調に流れているときが体は健康です、しかし何らかの原因でこの気血の流れが悪くなったり又逆に多く流れすぎても体調をこわし病気となりますそこでこの経絡上の要所に有るおよそ365のツボの中で症状に合うツボを刺激することによって六臓六腑の気血の流れを調節し経絡につながっている内臓や末梢の働きを助けて体の異常を改善します。これが東洋医学のツボの効用です。
次に家庭でできる簡単なツボ刺激療法をご紹介します。
鍼やもぐさが無くてもツボを刺激することはできます指で強く押すだけでも楽になります、ようじを10本位輪ゴムで束ねて鍼の変わりに使うこともできます、温熱療法は熱めのシャワー、ヘヤードライヤーの熱風や冷風も有効です。次に症状に合うツボを探す方法をご紹介します、まず第一に肩がこると自然と肩に手がいきます。その付近を押してみると他とは違う痛さや気持ちよく感じるところがあります。そこがその人のツボにあたります。このように東洋医学のツボ療法がご家庭や職場で簡単にできますので活用いただき若々しく健康で長生きできる一助になれば幸いです。